定番のフルーツケーキに使われる、フルーツのコンフィfruits confitsをご紹介します。
「コンフィ」って?
保存のために漬け込んだものをコンフィconfitといいます。
それが脂なら、鴨のコンフィ。砂糖なら、オレンジのコンフィに。
ほかにも酢やシロップ、お酒に漬け込む場合もあります。
つまり素材は関係なくて、「保存のために漬け込むconfire」という動詞から来ています。同じ言葉をもとにするのが、コンフィチュールconfiture、つまりジャムですね。
フルーツのコンフィ fruits confits
なかでもフルーツのコンフィは、芸術的な存在ともいえるたたずまい。
コンフィは何日もかけて順に糖度の高いシロップにつけて、果物の中の水分とシロップを入れ替える作業をして、完成させていきます。
おいしいか?と問われると、微妙ではあるのですが、甘く、美しく、とくに砂糖が貴重だった時代には、本当に宝石のような存在だったことでしょう。そして何より技術が素晴らしく、見る度にうっとりです。
ニースに行くと、たくさんのお菓子屋さんやコンフィズリのウインドウに、フルーツの丸ごと砂糖漬けが一面にディスレイされていて、見事です。
暑い地方で甘い甘いコンフィというのも・・とは思いますが、暑いからこそコンフィ作りに向いているということでしょう。
オレンジやレモンはもちろんのこと、洋梨、さくらんぼ、アプリコット、クレモンティンヌ、そしてパイナップルの丸ごとなんて、壮観! その技術と忍耐強さ(たぶん・・)に、感心してしまいます。
南仏でコンフィ作りが一番有名なのは、アプトApt村。行くつもりでしたが、コロナで旅行が流れてしまい、いずれ必ずと思っています。
ほかにも
ほかにコンフィといえば、ドレンチェリー。フランスではビガローbigarreauという品種が使われ、ビガロー・コンフィbigarreaux confitsといいます。
写真は、パリのデパート「ボン・マルシェ」で買ったものですが、なんと着色料も保存料も使っていないのだそう! 着色料でないドレンチェリーなんて、初めて見ました。うれしくて、これはもうフルーツケーキにするしかない! の気分です。パッケージには、果物や野菜の抽出物で染めていると書かれていました。
さてこれは、アンジェリカ。フキではなくて、セリ科の植物です。日本の製菓材料のアンジェリカは、この代用品で、フキです。
ニオールNiortという町の特産品で、町中のお菓子屋さんには、チョコやぼんぼん、パンにお菓子に、ヴェリンヌにと、あらゆるアンジェリカ製品が!
味はといえば、芳香があり、そしてやっぱりフキに似ているのです! もっと強い風味です。
今回、お菓子の認定講座をスタートするために、パリで買ってきました。いつもカフェ・ヴェルレにはコンフィが売られていますが、今回偶然にもそれがサンレミ・ド・プロヴァンスのリラマン(既出)のものと知りました。
フルーツケーキ cake aux fruitsを焼こう!
さて、今回は、これだけを揃えました。いよいよフルーツケーキを焼きます。1週間程前からレーズンとプルーンをラムに浸けて、当日は麗しいフリュイ・コンフィを愛でてから、カット。
たくさんのフルーツを入れて、ケーキに焼きました。
ところどころにアンジェリカが香り、なんとも楽しい時間。
パリに行かないと買えないので、フルーツケーキを作ったのは、本当に久し振りのこと。とてもうれしいことでした。