カヌレはボルドーの地方菓子で、いまではすっかりフランス菓子として定着しましたね。でもその言葉に意味があるってご存じですか。
カヌレ cannelé de Bordeaux
カヌレ・ド・ボルドーcannelé de Bordeauxは、ボルドーの地方菓子で、18世紀に誕生したと言われています。
Ste. Eulalie教会の後ろにあるAnnonciade修道院の修道女によって作られたのだとか。
ボルドーには大きな港があるので、荷車から小麦の袋が落ちることがあり、またワイン作りの清澄化の卵白を使うため、残った卵黄の組み合わせで誕生。その後やはり港ゆえヴァニラやラムが入ってきて、使うようになったとも。修道女たちは貧者への施しにしたり、売って修道院の運営費用を得るようになったと読みました。
ボルドーにはいくつか老舗のカヌレ屋さんがあって、Baillardranでは、
軽め、ちょうどいい、よく焼けたの
の3種類から選べて、とても楽しい思い出があります。初めて食べたとき、
「なんだか変わったお菓子! でもなぜかあとひく味だなあ・・」
と思っていたら、日本でもはやり始め、すっかり定着。いまは第3次ブームなのだとか。納得です。
カヌレcannelé の意味
カヌレとは、そもそもはカヌレーcannelerという動詞で、
「溝切りをする」
という意味です。
写真の左はカヌレナイフcouteau à cannelerとかcanneleurといって、レモンの皮やにんじんに溝切りをする道具。
右はタルト型ですが、縁にぎざぎざがあるものの名前はmoule à tarte cannelé(溝切りのあるタルト型)といいます。
ほかには星型の口金douille cannelée、菊型の抜き型emporte-pièce canneléもあります。
銅の型と蜜蝋で
ところで、銅の型と蜜蝋を使って焼いてこそ、外側の皮がバリッ、内側がむっちりしっとりに焼き上がります。
銅は熱伝導率が高く、外側をがガリッとキャラメル化するのに最適!
と思いきや、かなりの高温(220℃超)を要求しますし、ちょっとゆすっても内層の気泡がうまく入らないし、あまりうまくいかなかったのは途中で浮いてしまって色が入らず・・・と、なかなかに神経質。
テフロン型ならさほどの苦労なく、浮かず、きちんと色も入ると聞きます。
ただやはり外側のくっきりした模様とがりっとした食感は
銅の型+蜜蝋
の組み合わせが一番のようです。
苦労はしますが、ようやくきれいに焼き上がると、達成感でいっぱいに!
カヌレ、2つの表記
ところで、フランス語で、カヌレの表記はcanneléとcaneléの2つの表記を見かけます。nnと2つなのかn1つなのか、です。
これは1985年にボルドーに「カヌレのコンフレリー(友愛団体)confrérie du cannelé Bordelais」が出来て、そのミッションを「オリジナルのレシピを守ること」とし、そのことを保証し、自らのアイデンティティのために、nを一つ外すことにしたのだそうです。
つまりどちらも正解ということでしょうか。