Carre de l’est mirabella カレ・ド・レスト ミラベラ
アルザス、ロレーヌの牛乳チーズ
いまは工場生産ですが、もともとはrecolletsレコレ修道院により作られ、フランシスコ会修道士によって改良されたのだそう。
とても マイルドな味わいで、中身は柔らかめ。ロレーヌ地方特産であるミラベル(すももの一種)から作った「オード・ヴィー」で表面を洗って熟成させてあります。
「ミラベル特有の甘酸っぱさがチーズにも染みわたり、味に奥行きを生み出している」とのことでしたが、今回はよくは分からず、でした。
「熟成が進むとミラベルの香りと深いミルクのコクが相まって、より濃厚な味わいになる」のも待ちきれず‥・・でした! 次回こそ。
ピコドン Picodon
フランシュ・コンテ、サヴォワあたりのチーズで、山羊乳製
夏の終わりから秋が旬のチーズで、
ピコドンという名前は昔の言葉(オック語)でスパイシーを意味するのだそう。強い香りのある山草を山羊が食べるため、その乳は基本的にスパイシーな香りを持つといわれていますが、マイルドで柔らかくとろけ、とても食べやすくおいしい山羊チーズです。
トム・ド・サヴォワ Tomme de Savoie (IGP)
トム・ド・サヴォワ IGP
サヴォワ地方の牛乳のチーズで、その起源は家庭内消費用チーズだそう。
トムは牛が家畜小屋に戻り、もう大きなチーズ(例えばボーフォール)を作るほどの充分な牛乳のない冬製。脂肪分に乏しいため(まず乳脂肪分でバターを作り、残った脱脂乳でトムを作るため)、 ややあっさりめですが、熟成によるコクがあります。
外側は、いかにもチーズの模型みたいなゴツゴツの皮!
でも切って食べてみると、なめらかな舌触りで、優しい甘みとナッツのようなコクも味わえて、意外にも繊細なおいしさです。
スーマントラン Soumantrain (IGP)
ブルゴーニュ地方の伝統的なチーズ。
最初の製造は17世紀に遡ることができるそう!
20世紀まではブルゴーニュ中にその名を馳せたのに、少しずつ衰退。
その後、エポワスで有名なベルトー社が復活に尽力したのだそうです。エポワスによく似ていますが、よりマイルドで食べやすい味です。
エポワス好きとしては、ちょっと物足りないかも。
モルビエ Morbier (AOC)
フランシュ・コンテ地方ジュラの山のチーズで、特徴的な見かけをしているので、一目でモルビエだと分かります。中心に炭のラインがあるからです。
これは19世紀、ジュラの村で、コンテ用の凝乳を翌日まで取っておくために、灰(薪を燃やして大鍋についたすすを手でこすり取ってチーズにふりかけたもの)、一晩おいていたのだそう。虫除けのためです。
コンテ用には一度に500Lの牛乳が必要なため、小さい酪農家では間に合わず、半分作って、翌日その上に新しい凝乳をかぶせ、圧搾、熟成させ、黒い水平の線のあるチーズを作ったのが始まりなのだとか。
そう考えると、ちょっと心楽しい!私は食べるたびにコンテのチーズ工房で見かけた大きな円盤状のモルビエのことを思い出します。
熟成期間は比較的短くて、 春から秋の草を食べた牛のミルクを使った夏から冬が旬といえるそう。あっさりぎみなので、万人受けするように思います。
ボーフォール・エテBeaufort d’été (AOC)
サヴォワ地方のボーフォール・エテ(きちんとフランス語読みしたら、ボーフォール・デテ)とは、夏のボーフォールという意味です。
果実香、塩味、花の香りもあって、 かのブリア・サヴァランが「グリュイエールのプリンス」と命名したそう(フランスでは通常加熱圧搾したチーズをグリュイエールと呼ぶ。スイスのグリュイエールとは別)。 beaufort、beaufort d’été(=夏)、beaufort d’arpage(=山岳高地放牧地)の3種がある。
ボーフォルテン地域で作られていたことが名前の由来。サヴォワは1年の半分を雪に閉ざされる山岳地帯なため、牛は雪解けを迎える6月から10月にかけてアルプスの高原に放牧され、この夏の季節に作られたものだけが特別にété(夏)と表記されます。
そもそもボーフォールはおいしいチーズですが(私の大好きなチーズの一つです)、自然豊かで美しい高山植物を食べた牛の夏のミルクは栄養価が高く、味わいも深いということで、夏のボーフォールは特別なのです。
最大で12ヶ月間熟成させていて、レイヌール(lainures)と呼ばれる細かいひび割れやウズラの目(yeux de perdrix)と呼ばれる小さな穴があいている箇所があり、こえれがあると、しっかりと熟成した高品質のチーズの証とされています。
そのまま食べてもおいしいチーズですが、火を通すとさらに美味しさが増すため、サヴォワ地方の郷土料理フォンデュや、キッシュやグラタンにも。
ですが、もったいなくて、やっぱりそのまま食べてしまいます!
プーリニー・サン・ピエール Pouligny-Saint-Pierre
これまで相当にチーズの種類は食べてきたつもりですが、まだ食べたことがない、こんなに美味しいAOPチーズが残っていたとは、驚きました。
AOP認定は1972年、パリの下のほう、サントル/ベリー地方が原産です。
山羊チーズなのですが、中身がとろけ、ほどよい酸味にほどよい塩気。とてもおいしかったです。合わせるのはロワールあたりのフルーティな白ですね。
24時間かけてゆっくり固めたミルクを、ピラミッドを逆さにしたような型に入れて固めるため、出来上がったチーズは「エッフェル塔」の愛称で親しまれているのだそう!
生産指定地域が狭く、生産量は多くはないそうで、私がこれまで(勉強を始めたころからカウントしたら、もう30年)食べたことがないように思うのは、それが理由かもしれません。
届いたチーズは、パリの街角の普通のフロマジュリで売られている感じの包み紙にくるまれています。なんとも愛らしく、洗練されてないけど、それがまたそれっぽくて、いい感じ!
サン・ネクテール
原産地オーヴェルニュのSaint-nectaireサン・ネクテールは、1955年にAOC認定されている、牛乳チーズです。
なんともいえない、田舎っぽい香り、土のような、カビのような、ほこりっぽいような香りがあります。でもそれはおそらく皮由来で、中身は旨味が多く、とてもおいしいチーズです。ナッツのようなコクも。
17世紀太陽王と言われたルイ14世の食卓に出されたことで一躍有名になったそうで、原産はクレルモン・フェランから近いサン・ネクテール村だそう。
表皮にある緑色のカゼインマークが楕円計であれば農家製、正方形なら工場製。ただしカビに覆われているので、なかなかに見つけにくいのです。
バノン Banon
バノンは、フランス・プロヴァンス地方Alpes-de-Haute-Provence(アルプ・ド・オート・プロヴァンス)県、バノン村にちなむチーズです。
山岳地帯のチーズで、冬は羊の乳、夏は山羊の乳、牛乳からは通年作られるようですが、これは山羊。
強めの酸味と独特の香りがあり。外皮は自然のままの白、味の強さを守るため10枚くらいの栗の葉でくるまれ、ラフィア椰子のひもで縛られているのが、なんとも素敵なビジュアルで、バノンを買うとわけもなくうれしくなってしまいます。
秋の落ち葉を使うのは、緑色だとタンニンがあり、チーズの味に影響を与えるからとのこと。
そういえば何年も前は、緑色の紙だったかセロファンになっていて、がっかりしたものですが、また本物の栗の葉が戻ってきて、うれしいことです。
ガプロン
Gaperonガプロンはオーヴェルニュの牛乳チーズです。
起源はとても古く、名前はバターミルク(脱脂乳)を意味するオーヴェルニュの方言gapあるいはgapeからきているのだそう。
厳しい自然ゆえに貧しく、まず絞った乳から攪拌器でバターを作り、底にはバターミルクあるいは「攪拌した乳」が残り、これを生乳とまぜてガプロンが作りだされたと言われています。
低脂肪のさっぱり味だったので地元の特産品にんにくでコクを足し、さらに黒胡椒が足されることになり今の姿に。
伝統的手法はひもでつるしてかまどの近くにおき、長期保存のために乾燥させていて、ガプロンがたくさん軒下にぶら下がっていれば、牛をたくさん飼っている証拠であり、財力の象徴だったのだそう。
別名は「しゅうとめのおっぱい」というと聞きました。なかなかの迫力です。かなり立派!
季節は10月から3月の冬で、合わせるワインはオーヴェルニュの赤なのですが、日本ではあまり見ないので、コート・デュ・ローヌあたりがよいでしょうか。食事のあとのナチュラルチーズというよりは、お酒のおつまみにいっそう合うように思います。
クロッタン・ド・シャビニョール
Crottin de Chavignolクロッタン・ド・シャヴィニョール
Sancerre (サンセール)ロワール河沿いの山羊のチーズです。辛口の白で知られるサンセールの丘の麓、シャヴィニョル村。
となると合わせるのはやっぱりサンセールやロワールの白赤でしょうか。
クロッタンとは、「馬糞」という意味とはよく知られた話しですが、そもそもは、粘土でできた「クロット」と呼ばれるランプに形が似ているから、だとつい最近知りました!
パリでsalade de chevre chaud(温かいシェーヴルチーズのサラダ)にアレンジされたのがきっかけで、もてはやされるようになりました。
シェーヴルチーズを温めるなんて〜と思いましたが、これは結構おいしいのです。
パンに、チーズのスライスを乗せ、トースターへ! 野菜類と取り合わせてどうぞ。軽いお昼にもなります。