マリネmarinerという言葉、よく聞かれると思います。
そもそもはラテン語の「mare海」という言葉に由来するのだそう。つまりマリネとはもともとは海水に漬けることです。
海水につけておいしくなるのは、肉、魚、野菜。 (果物をアルコールやシロップなどに漬けることは厳密にはマリネではなくて、マセレmacererという言葉を使います)
たとえば牛肉の赤ワイン煮込み
まずは大きく切った牛肉(とくに固い部位。たとえば肩肉、バラ肉、すね肉など)を香味野菜とともに赤ワインに漬けることがマリネmarinerです。
マリネ液(marinade)に浸ける目的は、
- 素材が柔らかくなり
- 芳香がしみこみ
- 保存がきくように
なります。
赤ワインに漬けてから煮込むと、赤ワインの酸で肉のコラーゲンのくさりが断ち切られやすくなり、早く柔らかくなります。ちなみに白ワインのほうが酸が強いため、より有効です。
牛肉の赤ワイン煮込みの場合、前日、あるいは前々日からマリネしておきますが、かつて当日にいきなり煮てみたことがあります。
忘れていたとか、撮影のため急いでいたとか、そんな理由です。
しかし2時間煮ても3時間煮ても柔らかくならず、ギブ。
マリネってそんなにも重要だったのか‥と思い知りました。 あるときは前々日から漬けてみて、前日につけるより明らかに香りよく煮上がって、時間がこんなにも大切な役割を果たすことに驚いたこともあります。
赤ワインが残ってしまったら、固めのお肉を買ってマリネして、煮込みを作ってみてください。ベーコン、フォン(だし)にトマト。素材を加えれば加えるだけ、重層的で奥行きのある味に仕上がります。
逆に香味野菜と赤ワインだけで煮込むと、まっすぐクリアな味に仕上がり、これはこれでおいしいもの。ただしちょっとアルコールが強く香ってしまいますが・・。