ポタージュはとろみのあるスープ?
なんとなく液体状の食べ物の総称をスープsoupeと呼んで
その中でとろみのあるものをポタージュpotageと呼ぶ、と思っていませんか?
フランス料理では、ひとつの考え方として、
「ブイヨンベースで作ったものをポタージュ、
水と野菜で作ったものをスープと呼ぶ」という定義分けがあります。
だからポタージュには、澄んだポタージュ(!)と
とろみのついたポタージュがあるのです。
澄んだポタージュはたとえばコンソメ、とろみのあるポタージュは
私たちのよく知っているかぼちゃやコーンスープです。
あるいは、スープのほうが田舎っぽくて、ポタージュのほうが洗練されたイメージ、という見方もありますが、どれも絶対ではないようです。
ただしあくまでも、定義的には、というだけで、
水で作る農民風ポタージュpotage cultivateurなんて料理もあって、
ちょっと混乱します。
ちなみにブイヨンbouillonは肉や野菜のだし汁のことで、bouillir(ゆでる)という言葉からできています。
白いフォン(骨を焼かずに茹でて取るフォン)やポトフの煮汁のこと。
牛肉のブイヨンはそのまま飲むスープになりますが、
仔牛の骨から取ったフォン・ド・ヴォーはソースのベースになり、
基本的にはそのまま飲むスープにはしないと思います。
おいしく作るポイント
水で作るときに、とても大切なのは、素材の味。
まず最初のポイントは、ポワローにじっくりと時間をかけて
火を入れて、旨味と甘味を引き出すこと。
ポワローが手に入らないときは、玉ねぎと長ネギの白いところを半分ずつで代用してください。
簡単な料理なのに、教室という枠の中では、じつは毎回「時間」の問題で手こずらされます。
この前の授業では、うっかりとこれをおろそかにして(時間がないからと
ちょっと前段階で見切ったら・・・)
やっぱり少し奥行きのない味に!
時間がなくて、スープもキンキンまで冷えない〜と焦りましたが、このときは、中央に沈めたガスパチョのソルベの冷たさのおかげで救われました!
同時進行でガスパチョを作るなんて無理!という方には、市販の野菜ジュースを冷凍庫で凍らせ、フォークで砕いておいたものを使われるのはいかがでしょうか。
つぎに、濃度と塩加減のこと。
まず薄すぎたら、そもそも水ベースですし、薄くて美味しくないですね。この場合は煮詰めます。ただし生クリームを入れてから煮詰めると、味も食感も悪くなるので、その前段階で煮詰めます。
ですが、濃すぎると、じゃがいもの食感がざらざらして、今一つ滑らかなスープにはなりません。適度な流動性が必要です。
そして人間の舌は、とても熱いものと冷たいものは、味を感じにくくなるので、少しだけ塩を強めにしておきます。でもほんの少しだけ。
明らかに塩が強すぎると、飲み疲れをして、食が進みません。
だからよいと思ったところで冷蔵庫で冷やし、飲む前に少し塩加減を調整したほうが安全。
塩加減は難しいですね。
ヴィシソワーズの歴史
さて作ったのは、アメリカで働いていたフランス人シェフと言われています。
フランスの中央山岳地帯オーヴェルニュ地方に、ヴィッシーVichyという温泉町があるのですが、
シェフがこの町近くの出身だったということで、この名前が付けられたのだとか。
ヴィッシーといえば温泉町ですから、もちろんのこと「水」が有名。
天然の泡入りなのですが、けっこう塩辛くてびっくりさせられます
でも美容にはとってもいいみたい!
日本にも輸入されているので、チャンスがあったらぜひ。