料理の基本のハーブ
フランス料理を作る時、かなりの高い頻度で使うのは
タイムとローリエ
タイムはシソ科の多年生の香草で、和名は「立麝香(たちじゃこう)」というそうです。なんだか素敵なネーミング! 名前からもよい香りが立ち上ってきそうです。地中海原産。あらゆるフランス料理に使うことができるオールマイティな存在です。
パリで料理学校にいたときには、太短い茎をずぼんと土から引き抜いてきたようなタイム(まだ根と土がついたままのもの)がときどき大量に納品され、洗って根を切り、低温のオーヴンで乾かしていました。いい香りがぷんと漂います。私はこの作業がとても好きでした。
ローリエlaurrierは月桂樹の葉で、同じく肉の臭い消しや香り付けなど、広範囲に使えます。
フランス料理を作るなら、この二つをまずは揃えるべき。
逆にいえば、この二つがあれば、何とかなる、ともいえます。
夏にはこんな、ピンクの可憐なお花が咲きます。花のついている枝ごと肉料理に添えて、香りを楽しみます。
ブーケ・ガルニとは
ブーケ・ガルニはソースやフォンを煮込むとき、
香りづけに使うポワロー(西洋ネギ)の緑色の部分を使って、
タイムとローリエ、パセリの茎などを
たこ糸でぐるぐると縛ったものです。
いわば、「香草の束」。語源は
ノルマン語bosc「木、花、香草の香り」から成立した
bouquetから来た言葉と
フランク語warnjan「備え付ける」を語源とするgarnirの合成語と
料理の辞書にはあります。
ブーケは私たち日本人でもよく知っている言葉ですし、
ガルニもフランス料理の中では、よく「付け合わせ」の意味で使いますね。
このブーケ・ガルニは、基本的に一つの鍋に入れるのは1つ。
つまり多めに作るときは、なかのハーブの量を増やし、2つ入れることはありません。
また煮込みに使うものですから、料理のお皿には盛らずに、引き上げてしまいます。
フレッシュなタイムで
料理教室ではかなりたくさんのタイムを使いますが、昔はスーパーに売っている1パック198円のを干して、使っていました。でもひょろひょろで、すぐに
なくなります。
フランスに行ったら必ずスーパーかマルシェで買って、いくつも買って帰って来ましたし、マルシェで土付きを見つけたら、ホテルで洗って乾かしてまで
持ち帰ってきていました。
旅行予定の生徒さんが「お土産は何がいいですか?」などと親切に聞いて下さる場合は、迷わず
「タイムをお願いします。スーパーに束で売ってるやつ!」
と厚かましくもお願いしてしたものです。
ああぁぁ、プロヴァンスの香り!!!などと言いながら、教室で大事に使わせてもらっていました。
だんだんそのことがみなさんの名かで浸透し、途切れることなくお土産として頂戴して、使わせて貰っていた時期もあります。
あるとき、自宅で育てている方からたくさんのタイムをいただきました。
「畑からざっくりと刈ってきた」だけのものなのだそうです。
なんてありがたい!!
さっそく干してみました。
いまではほかの生徒さんでお家のガーデン製のタイムを
ずっとお持ち下さる方もあり、
最近はもうほぼ買うこともなく、ありがたく使わせてもらっています。
爽やかで、マイルドです。
タイムは強いので、時として市販の乾燥タイムで使えないこともあります
(強すぎて、個人的に無理・・と感じるのです)
ので、瓶詰めの乾燥を使うときは気をつけて!
野生のタイムの花
私が事務局を務めるパン・ド・ロデヴ普及委員会の準備段階で行った、
南に位置するロデヴ町の山で見つけたもの。
可憐な姿ですが、力強いタイムの花の蜂蜜が採れるはず。
左の写真は、野生のセージのお花と。野生のタイムやローリエに遭遇できるなんて、うっとりするような体験でした。
余談ですが。
「わあ、あれ、タイムじゃない!」
と叫んだ私の声を聞いて
ささっと崖によじ登り、花を摘んでくださったのは
ロデヴ普及委員会技術顧問の仁瓶利夫さんでした。
さらにうっとりの体験でした♥