ポトフの歴史
ポトフのポpotとは、壷とか鍋という意味です。
フfeuとは火。つまり火にかけた鍋というような意味です。
他にもポテpotéeやポタージュpotageが、potから派生した言葉です。お鍋を火にかけて、ことこと煮て作る料理を思い浮かべることができますね。
フランスの偉大なる家庭料理ポトフ。
8世紀にはすでに「viande au pot(鍋にかけた肉)」という料理があったそうです。
ところで、昔むかしフランスパリに、レストランができたのはフランス革命で宮廷を追われた料理人が、自分でレストランを開いたことに始まると言われています。
最初に「restaurantレストラン」という言葉を「料理を提供する場所」に使ったのはブーランジェで、1765年のこと。
そこでは「bouillon restaurant(元気を回復させるブイヨン)」という名前の料理を出していたそうです。restaurerは回復させる、修復するという意味の言葉から来ています。ポトフはまさしくそんなイメージにぴったりの料理です。
ポトフは伝統的フランス料理を代表する料理の一つ
「ポトフは伝統的フランス料理を代表する料理の一つである」
という表現に、びっくりしなくもない(もっと華やかで豪華な料理があるのに、と)のですが、歴史を知ると納得です。
通常ポトフは牛肉で煮込みますが、豚肉、仔牛、鴨や鶏などいろいろな種類のお肉で作ることができます。
お肉もブイヨンも野菜もすべてが一気に煮上がる便利な料理ではあるのですが、じつはすべてをほんとにおいしい状態に煮上げるのは、そんなに易しくはありません。
(フランスでも、おいしく作るために、料理人も料理上手も喧々諤々うんちくを傾ける料理だと言われます)
下手くそに作ると、お肉は味が抜けてスカスカ、野菜はぐずぐす、ブイヨンは薄くて寝ぼけ味・・・ということになりかねません。
こだわって考えるなら肉、野菜、水の比率だけでなく、
・いつ塩を入れるのか、
・水の量と質(硬水を使うほうがクリアにあがります)、
・湯を沸かしてから肉を入れるのか(湯からのほうがクリアな味に)水からか、
などなど。でもそんなに小難しく考えなくてもそれなりにおいしくできあがってしまうのもまた煮込みのいいところです。
おいしいポトフにするためには?
おいしいポトフにするために、私がやっているのは
- 水の半量くらいを硬水(エヴィアンとかヴィッテル)に。
*クリアな味に煮るため - 肉を投入するのはお湯になってから
*上と同じ理由 - 塩を投入するのは、途中から
*肉の旨味がブイヨンに流れすぎないよう。でも適度にブイヨンもおいしくなるよう。 - 水の量は適当にやらずに、初めから決めている。
多すぎる水は、うすら寝ぼけた肉と野菜とブイヨンのもと!
煮込む肉によっても違うので、最終的にお肉と同じ重さのブイヨンになるように設定。
日本では難しいのですが、フランスのポトフにはよく骨髄l’os a moelleが入っています。
髄のところにお塩を振り、とろんとした部分をすくって食べます。
この骨髄、凄く好きかと言われるとなんとも・・ですが、このおかげでブイヨンに丸みがでて、ぐんとおいしくなるのです。機会があったらぜひお試しください。
ちなみにお肉をコトコト長い時間煮て作るのがポトフですが、フォワ・グラのポトフもあります。
他のものだけ煮込んでおいて、フォワ・グラはさっと火を通せば、OK! とろんとおいしくなるし、髄の替わりにブイヨンの味を高めてくれるのです。
最近は定義は定義として、時代による新しい解釈、あるいは料理人の新しい自由な解釈で、古くて新しい料理に変化したものもたくさんあるのです。