コロナでしばらくフランスへはいけていないので、直近の楽しかったレストランのお話を。
18年の夏に妹と二人で、ミシュラン2つ星「ジャン・フランソワ・ピエージュ」にランチに行きました。
Jean-Francois Piege
7 rue d’Aguesseau
Paris
http://www.jeanfrancoispiege.com/fr
アミューズのあと
根セロリの前菜が来ました。
根セロリをバラ状に組み立て、りんごの角切りが散らしてあります。根セロリの皮とベルガモットをアンフュゼ・・・香りを抽出すること・・・して、泡立てたバターが回しかけられました。
華やかで、ふわふわっと幸せを感じるようなお皿です。
バターソースはどこか少しコーヒーのような香りになっています。たぶん根セロリの皮由来なのでしょう。
主菜はシャランの窒息鴨。
オリーブの種に囲まれたシャランの鴨がやってきて、
「こんなふうにオリーヴの種で蒸し煮にしました」。
なんとも言えない独特の香りが漂います。(「オリーヴじゃなくて、その種とは!」とびっくりして、写真忘れました・・)
空豆の小さいのとじゃがいものクルクルが胸肉の上に乗せられ、オリーヴの身を潰したジュが添えられています。
もも肉の上は「小さな庭(と、題名にありました)」のように、ハーブや花が飾られていました。
胸肉はとても軟らかくジューシーで、やさしい味。腿肉は食感がよく、非常に美味しかったです。
「うちのスペシャリテです」と出てきたのは、じゃがいものムースリンヌ
それはそれは濃厚で、生アーモンドのピュレが入っているそうです。おかわりを進められ、もちろんいただきます。
わーい、これ、インスタで見ました!!
さてデザート1皿目は「Mon Blanc a manger」とメニューにありました。的確に訳すのはちょっと難しいのですが、モン・ブランとブラマンジェがかけてあるのだと思います。説明ではイル・フロッタントの再構築・・とのこと。
食べてみると、
しっとりふんわり柔らかいメレンゲの中から、アングレーズソースがとろーんと流れ出てきます!
おいしい!! 上の薄いキャラメルとあいまって、素敵なデザートです。中からアングレーズソースということは、つまり「逆イル・フロッタント」です。イル・フロッタントはアングレーズソースに茹でたメレンゲを浮かべた、とてもクラシックなデザートなのですが、これは逆の組み立て。だからサービスは、最初に「イル・フロッタントの再構築」と言ったのだと分かります。すばらしい!
どうやって作るのだろう! このメレンゲの柔らかさと幸せ感漂うおいしさは!! 材料は何げないものですが、完成度の高さといったら! 頭のなかで勝手に作り方を思い巡らせます。
さて2つ目のデザートは、シガレット
1本目のシガレットにはジャワ島産チョコレートの濃厚なムースとフランボワーズの甘くないジュレが入っています。
おいしい! おいしいけれど、2本は要らないのだけど・・。
サービスのお姉さんがフランボワーズのソースをかけにきてくれました。
2本目のシガレット(要らないと言いつつ、結局食べる・・)には、バニラアイスといちごのソルベが入っていました。さすが!
(同じもの)2本も要らないとか思って、ごめんなさい・・の気分です。
「手でソースを付けて召し上がれ」と、チョコレートのスポンジも来ました。
はあぁ、おいしかった。
ピエージュのレストランのマークの模様を象った、複雑な木箱がでてきました。開けてみるとこんなことに。
さて3つ目のデザートは
クレーム・オ・ズー、ヴェルヴェンヌ風味
とろんと柔らかく、おいしい!
さて続いてはいちごのリキュールが、バカラのグラスに注がれました。
いちごとニワトコsureauの花をリキュールに浸けたもので、シェフのおばあちゃんから伝わる伝統のレシピなのだそう。
キュート! 香りの高いいちごでした。
キター!
(食事の済んだ隣のテーブル起こったことを、すでに見てしまったのです)非常に何気なくお姉さんがテーブルに近づき、なんの前触れもなくチョコレートの球をテーブルにポン!と。
チョコは割れ、
中からチョコがけヘーゼルナッツと、バジル風味のパート・ド・シトロンが散らばります。
さっき、隣のときにすでに「わぁぁ!」と言ってしまったので、このサービスのお兄さんは私たちがすでに知っていることを分かっていますが、それでもやはり双方ともにニヤニヤ。なんと楽しいエンタメでしょう!
(クリーニング屋さん、大変でしょうが)
どれも料理がほんとうにおいしく、サービスは丁寧で温かく、とてもよい時間を過ごせました。天井が高く明るく、ほどよいカジュアルさもくつろげる理由かもしれません。
星付きのレストランは料理のクオリティだけでなく、レストランの内装や設え、皿やカトラリーの美しさ、温かで質の高いサービスなどなど、総合芸術だと思います。
私がレストランに求めることはこれらだけでなく、
楽しい。びっくり。
つまり上質なエンターテインメント性です。
食べたことがない。これまでなかった組み合わせ。新しい解釈。
つまりたくさんお勉強させてもらえるということ。
ピエージュは、とってもおいしく楽しい経験だっただけでなく、
「私もこんなふうに作ってみたい!」と思わされることがいっぱい。
結局このメニューの中から、いくつかにトライ。ピエージュさんのレシピからのときもあれば、自分なりに試行錯誤した結果の料理もあり、何年にもわたり教室で再現してみました。
私にとっては、支払う額以上の満足と経験をいただくことになり、ちっとも高い買い物ではありません。
これを私は「自己投資」と呼んでいます。
「また来ようねー」
と妹と約束して、お店を後にしました。はやく再訪したいものです。